楽典の勉強をしていてテトラコード(テトラコルド)「Tetrachord」という言葉が出てきたのですが、これは特殊なコードなのでしょうか?
「テトラ」とつくので4つの音でできたコードかな、と予想はつくのですが、詳しく教えてください。
4度音程内で作る4音の音型です
4度音程内で作る4音の組み合わせのことをテトラコード(またはテトラコルド)と呼んでいます。
“コード”という名称がついてますがコードだけを指すのではなく、単音としても使われます。
ジャズでは1オクターブ内の4音の組み合わせを総称してテトラコードと呼んでいます。各スケールから任意の4音を取り出せばテトラコードになります。
特にジョン・コルトレーンが好んで使っていた1-2-3-5の音型が有名ですが、それ以外にもよく使われる音型があります。
Ma7 | 1-2-3-5 | 5-6-7-9 | 9-3-#11-6 |
mi7 | 1-b3-4-5 | 5-b7-8-9 | 9-11-5-13 |
mi7(b5) | 1-b3-4-b5 | b5-b7-8-b9 | b9-11-b5-b13 |
7 | 1-2-3-5 | 5-13-b7-9 | 9-3-#11-13 |
7(b9,13) | 1-b2-3-5 | 5-13-b7-b9 | b9-3-#11-13 |
7alt | 1-b2-3-b5 | b5-b13-b7-b9 | b9-3-11-b13 |
これらテトラコードをアドリブに活用する方法はジェリー・バーガンジィのメロディック・ストラクチャーで詳しく紹介されています。
1-2-3-5を使ったテトラコード
単音での活用法はジェリー・バーガンジィのメロディック・ストラクチャーで学べるので、ここではコードボイシングを紹介していきます。
Cをルートとしたときの1-2-3-5は「C-D-E-G」。
この4音はCadd9コードと捉えることができます。早速ギターで弾いてみましょう。
6弦ルートで弾く1-2-3-5テトラコード
4弦ルートで弾く1-2-3-5テトラコード
転回型はストレッチが多いので実用性は低いですが、響きを覚えておくとイヤートレーニングになります。
6弦ルートで弾く1-2-3-5テトラコードの転回型
4弦ルートで弾く1-2-3-5テトラコードの転回型
7度の音が入っていないので、ドミナントコード上でも使うことができます。ドミナント感を出したくないときにおすすめです。
1-2-3-5のドロップボイシング
開放弦を使わずに弾けるように、ドロップボイシングも見てみましょう。
1-2-3-5テトラコードのドロップ2ボイシング
1-2-3-5テトラコードのドロップ3ボイシング
1-2-3-5テトラコードのドロップ2+4ボイシング
Iで使うテトラコード
6弦ルートのテトラコードをII-V-Iで使った例
開放弦を使った響きは独特なので、曲のエンディングに重宝します。
4弦ルートのテトラコードをII-V-Iで使った例
テトラコードドロップ2をII-V-Iで使った例
テトラコードドロップ3をII-V-Iで使った例
テトラコードドロップ24をII-V-Iで使った例
テトラコードは、3度ずつ音を積み上げた通常のコードとは違った響きになるので、、コンピングの幅を広げるのにも役立ちます。
5-6-7-9を使ったテトラコード
次は5-6-7-9を試してみましょう。Cをルートにすると「G-A-B-D」になります。

この4音はCMa13コードと捉えることができます。
5弦ルートで弾く5-6-7-9テトラコード
5-6-7-9テトラコードの転回型
1-2-3-5のコードフォームと組み合わせればコンピングや作曲にも活用できます。
5-6-7-9テトラコードを自由に組み合わせた例
5-6-7-9のドロップボイシング
5-6-7-9テトラコードのドロップ2ボイシング
5-6-7-9テトラコードのドロップ3ボイシング
5-6-7-9テトラコードのドロップ2+4ボイシング
V-Iで使うテトラコード
5-6-7-9はGadd9(またはG9)と捉えることもできるので、II-V-IのV-Iで並行移動したボイシングが使えます。
テトラコードを並行移動させた例
ドミナントの響きを強調させたくないときに重宝するボイシングです。
1-b3-4-5を使ったテトラコード
メジャーの次はマイナーです。ここではDをルートに見ていきましょう。

1-b3-4-5はそれぞれ「D-F-G-A」になります。この4音はDmadd11と捉えることができます。
6弦ルートで弾く1-b3-4-5テトラコード
1-b3-4-5テトラコードの転回型
1-b3-4-5のドロップボイシング
1-b3-4-5テトラコードのドロップ2ボイシング
オクターブ上で弾くこともできます。
1-b3-4-5テトラコードのドロップ2オクターブ上
1-b3-4-5テトラコードのドロップ3ボイシング
6弦Fのボイシングが弾けないので全てオクターブ上げています。
1-b3-4-5テトラコードのドロップ2+4ボイシング
6弦D音が弾けないので全てオクターブ上げています。
5-b7-8-9を使ったテトラコード
Dをルートにすると「A-C-D-E」になります。

この4音はDm9と捉えることができます。
1〜4弦で弾く5-b7-8-9テトラコード
5-b7-8-9テトラコードの転回型
5-b7-8-9のドロップボイシング
5-b7-8-9テトラコードのドロップ2ボイシング
5-b7-8-9テトラコードのドロップ3ボイシング
5-b7-8-9テトラコードのドロップ2+4ボイシング
Dm7での使用例
1-b3-4-5のボイシングと自由に組み合わせて弾くだけでも、洗練された響きになります。
5-b7-8-9テトラコードのアドリブ
作曲のアイデアにも役立つので、気に入ったボイシングがあったら取り入れてみてください。
ドミナントでのテトラコード
ドミナントはオルタードテンションを使うか使わないかでテトラコードの選択肢が変わってきます。
メジャーで使った1-2-3-5とマイナーで使った5-b7-8-9はオルタードテンションを使わないドミナントコードにも使用できるので、ここではオルタードテンションを使ったテトラコードを紹介します。
1-b9-3-5のテトラコード
Gをルートにすると「G-Ab-B-D」になります。

この4音はG7(b9)と捉えることができます。
2〜5弦で弾く1-b2-3-5テトラコード
1-b2-3-5テトラコードの転回型
1-b2-3-5のドロップボイシング
1-b2-3-5テトラコードのドロップ2ボイシング
1-b2-3-5テトラコードのドロップ3ボイシング
1-b2-3-5テトラコードのドロップ2+4ボイシング
5-13-b7-b9のテトラコード
Gをルートにすると、それぞれ「D-E-F-Ab」になります。

この4音はG13(b9) と捉えることができます。
1〜4弦で弾く5-13-b7-b9テトラコード
5-13-b7-b9テトラコードの転回型
5-13-b7-b9のドロップボイシング
5-13-b7-b9テトラコードのドロップ2ボイシング
5-13-b7-b9テトラコードのドロップ3ボイシング
5-13-b7-b9テトラコードのドロップ2+4ボイシング
かなりストレッチするフォームもあるので、実用性が低いボイシングもありますが、気に入った響きを見つけたらぜひ取り入れてみてください。
ジェリー・バーガンジィの教則本と併用することでより理解が深まると思います。