五線譜は音楽の共通語です。読めるようにしておくと主に3つの場面で役立ちます。

  • リアルブックを使ってジャムセッションするとき
  • ライブやレコーディングするとき
  • ギター以外の教則本を使うとき

リードシートを初見で読めるくらいの読譜力をもっておくと、困ることはありません。

ここではCメジャースケールを使って五線譜を読むための練習法を紹介していきます。

五線譜を読むための基礎さえ覚えれば、今までタブ譜がないからとあきらめていた楽譜も読めるようになり、音楽の楽しみ方も広がっていきます。ぜひじっくりと取り組んでみてください。

指板上の音の配置を覚える

五線譜をギターで弾くためには2つのステップがあります。

  1. 五線譜の音符を読むこと
  2. それをギターに置き換えること

ギターに置き換えるために必須なのが、ギターの指板上の音の配置を覚えることです。

ギター指板上のCメジャースケールの配置

Cメジャースケールのダイアグラム

指板上全てを一度に覚えようとすると大変なので、ポジションを限定して覚えていく方法を紹介します。

ポジションの分け方は5つがおすすめです。

4〜8フレットの読譜練習

ここでは4〜8フレット(ポジション3)を使って五線譜を読む練習を紹介していきます。

Cメジャースケールの配置

Cメジャースケールポジション3のダイアグラム

五線上での音域(6弦5フレットA~1弦8フレットC)

ポジション3で出せる音五線譜

2弦の音

指板上の音の配置は各弦ごとに覚えていきます。どの弦から覚えても構いませんが、ここでは2弦のE、F、Gからはじめてみましょう。

2弦のダイアグラムと楽譜

指板上の配置と五線譜での位置を確認したら譜例1を弾いてみてください。

譜例1

2弦の読譜練習

1音ずつ確認しながら弾きます。このとき音名を口に出しながら弾くのも効果的です。慣れてきたら音源のテンポに合わせて弾いてみてください。

3弦の音を追加

3弦はC、Dの2音です。

3弦のダイアグラムと楽譜

音の位置を確認したら譜例2を弾いてみましょう。

譜例2

3弦の読譜練習

ここでも1音ずつ確認しながら弾いていみてください。

C、D音を覚えたらB音を加えます。3弦4フレット、4弦9フレットのどちらでも弾けるようにしておきましょう。

B音のダイアグラムと楽譜

譜例3

B音を加えた読譜練習

4弦の音を追加

4弦はG、Aです。

4弦のダイアグラムと楽譜

譜例4

4弦の読譜練習

だんだん音域が広くなってくるので、難しければゆっくりなテンポで弾いてみてください。

5弦の音を追加

5弦はD、E、Fです。

5弦のダイアグラムと楽譜

譜例5

5弦の読譜練習

6弦の音を追加

6弦はA、B、Cです。

6弦のダイアグラムと楽譜

譜例6

6弦の読譜練習

1弦の音を追加

最後に1弦のA、B、Cを加えましょう。

1弦のダイアグラムと楽譜

譜例7

1弦の読譜練習

ポジション3の指板上の音の配置と五線譜上での音域を覚えられたら、他のポジションでも同じように練習してみてください。

指板上を1つのポジションとして見れるようにするのが最終目標です。

リズム付きの譜読み練習

今までは4分音符のみの譜読みでしたが、今度は実践向けにリズム付きの音符を読んでいきましょう。

8分音符を使った譜例1

8分音符を使った読譜練習1

8分音符を使った譜例2

8分音符を使った読譜練習2

8分音符を使った譜例3

8分音符を使った読譜練習3

8分音符を使った譜例4

8分音符を使った読譜練習4

8分音符を使った譜例5

8分音符を使った読譜練習5

16分音符を使った譜例1

16分音符を使った読譜練習1

16分音符を使った譜例2

16分音符を使った読譜練習2

16分音符を使った譜例3

16分音符を使った読譜練習3

16分音符を使った譜例4

16分音符を使った読譜練習4

16分音符を使った譜例5

16分音符を使った読譜練習5

16分音符を初見で弾くのは大変ですが、読んでいるうちに慣れてくるので焦らず取り組んでみてください。

ある程度弾けるようになってきたら、ジャズスタンダードのリードシートを読んでみるのがおすすめです。市販のリアルブックから適当にページを開いて五線譜を弾くと初見の練習になります。

リアルブックはジャズ・スタンダード・バイブルが入手しやすくおすすめです。

『ジャズ・スタンダード・バイブル セッションに役立つ不朽の227曲』

2010年11月発売

臨時記号の譜読み練習

ジャズの楽譜は臨時記号が多く使われるので、しっかりと練習しておきましょう。

ポジション3の1弦から順にシャープとフラットを付けた音を確認していきます。

1弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

1弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

1弦臨時記号#の譜読み練習

1弦にシャープを使った読譜練習楽譜

1弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

1弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

1弦臨時記号bの譜読み練習

1弦にフラットを使った読譜練習楽譜

2弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

2弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

2弦臨時記号#の譜読み練習

2弦にシャープを使った読譜練習楽譜

2弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

2弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

2弦臨時記号bの譜読み練習

2弦にフラットを使った読譜練習楽譜

3弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

3弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

3弦臨時記号#の譜読み練習

3弦にシャープを使った読譜練習楽譜

3弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

3弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

3弦臨時記号bの譜読み練習

3弦にフラットを使った読譜練習楽譜

4弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

4弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

4弦臨時記号#の譜読み練習

4弦にシャープを使った読譜練習楽譜

4弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

4弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

4弦臨時記号bの譜読み練習

4弦にフラットを使った読譜練習楽譜

5弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

5弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

5弦臨時記号#の譜読み練習

5弦にシャープを使った読譜練習楽譜

5弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

5弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

5弦臨時記号bの譜読み練習

5弦にフラットを使った読譜練習楽譜

6弦にシャープを付けたときの音の配置と五線譜

6弦にシャープをつけたダイアグラムと楽譜

6弦臨時記号#の譜読み練習

6弦にシャープを使った読譜練習楽譜

6弦にフラットを付けたときの音の配置と五線譜

6弦にフラットをつけたダイアグラムと楽譜

6弦臨時記号bの譜読み練習

6弦にフラットを使った読譜練習楽譜

C#とDb、CbとBなどの異名同音もしっかり覚えておくことが大切です。ポジション3の臨時記号を覚えたら、他のポジションでも練習してみてください。

五線譜を読むポイント

五線譜を読むときは、テンポ、調号、拍子記号を確認します。

ビバップソロの楽譜

この譜例の場合、テンポは226、調号からBとEが常にフラット、拍子は4分の4拍子になっています。

基本情報が分かったらギターで弾くポジションを決めます。

ポジションの決め方は、その曲で出てくる一番高い音と一番低い音をチェックして、横移動しないで弾ける場所を探します。

ビバップソロの楽譜で低い音と高い音

今回の譜面の場合、一番高い音がシb、低い音がファなので、ポジション3で弾けるのが分かります。

実際に弾いてみましょう。

ビバップソロをギターで弾いた楽譜

はじめのうちは1つのポジション内で弾ける場所を探すのが簡単です。慣れてくると自分の出したい音のポジションを選べるようになります。

毎日5分でも譜読みの練習を続ければ1年後にはほとんどの五線譜が初見で弾けるようになるはずです。あせらずじっくり取り組んでみてください。

アドリブするときやフレーズを作るときは「移動ド(キーに合わせてドの位置を変える)」ですが、読譜するときは、「固定ド(キーに関わらず実音で考える」でしか読めません。初見で弾くには移動ドで感じれた方がよいですか?

「初見で」となると移動ドはかなり難しいと思います。とくに最近のジャズは部分転調が多く、初見で移動ドは不可能かと。なので初見に限っては固定ドで読むのがおすすめです。移動ドで読めるということは、その楽曲を完全に把握している証でもあるので、初見ではなくじっくりと弾けるとき(またはイヤートレーニング)に使うのがよいと思います。

読譜の練習本(バークリー・モダン・メソッド・ギター)がバークリーの授業で使われていると言う噂を耳にしたんですが、どんな授業でどんな感じで使われていたか教えてください。
バークリー・モダン・メソッド・ギターはギターがメインではない生徒やこれからギターを学ぶ人向けの教本なので、ギターを専攻している授業では使われていませんでした。
モダン・メソッド・ギター Vol.1【CD付】

2000年発売
William Leavittウィリアム リーヴィット (著)

初見で五線譜を読む必要はない?

読譜できると便利な3つの場面

  • リアルブックを使ってジャムセッションするとき
  • ライブやレコーディングするとき
  • ギター以外の教則本を使うとき

以前は初見(初めて見る楽譜を瞬時に弾くこと)が必須でしたが、最近では必要なくなりました。

ジャムセッションの場合

ジャムセッションでは、ほとんどがジャズスタンダードなのでほぼ初見の必要はありません。仮に知らない曲でも、曲を提案した演奏者がメロディを弾くので、五線譜を読むよりもコードネームや曲のサイズを読めることの方が重要になります。

ライブやレコーディングの場合

ライブで演奏する曲は、事前にmp3やデモなどが送られてくるので、事前に練習できます。

レコーディングも同様です。

1990年代はまだインターネットが完全に普及せず、やりとりは電話がメイン。そのため代役などの急なライブやレコーディングがあるときは、「明日〜何時にスタジオに来れないか?」などの連絡のみ。当日スタジオに入って楽譜を渡される、というのが普通でした。

現在では急なライブやレコーディングでも、メールなどで「明日ライブで演奏する(レコーディングする)音源と譜面を添付しておく」というように、事前にどんな曲をレコーディングするのかが分かるようになりました。

ギター以外の教則本

ギター以外の教則本は1音1音確認しながら弾ければ十分なので初見は必要なしです。

初見よりもポジション選び

実は初見よりも、自分にしか出せない音で五線譜を弾く能力の方が重要です。ギターは同じ音でもポジションによって音色が変わります。「この曲にはこのポジションが合う」など自分なりのポジションの選び方を意識しておきましょう。

ここで五線譜の読み方の基礎を身につけたら、ぜひ自分なりの読み方、弾き方を研究してみてください。

*