コード進行から使えるスケールを見つけられるようになれば、アドリブするときや分析するときに役立ちます。

見つけ方には、曲のキーとV7コードから各コードの機能を調べる方法と、コードタイプから選んでいく方法の2つがあります。

まずは各コードの機能とタイプ別に使えるスケールを確認しておきましょう。

各コードで使えるスケール

メジャーキーで出てくるコードと使えるスケール

コードの機能 使えるスケール
IMa7 メジャー(アイオニアン)
IIm7 ドリアン
IIIm7 フリジアン
IVMa7 リディアン
V7 ミクソリディアン、ドミナントディミニッシュ
VIm7 エオリアン(ナチュラルマイナー)
VIIm7(b5) ロクリアン

 

  • ドミナントディミニッシュはコンビネーションオブディミニッシュと同じスケールです。

 

マイナーキーで出てくるコードと使えるスケール

コードの機能 使えるスケール
Im7 ナチュラルマイナー(エオリアン)
ImMa7 メロディックマイナー、ハーモニックマイナー
Im6 ドリアン、メロディックマイナー
IIm7(b5) ロクリアン、リクリアン6
IIm7 ドリアンb2
bIIIMa7 メジャー(アイオニアン)
bIIIMa7(#5) リディアンオーギュメント、アイオニアンオーギュメント
IVm7 ドリアン、ドリアン#4
IV7 リディアンb7
Vm7 フリジアン
V7 ミクソリディアン b9 b13、ミクソリディアン b6
bVIMa7 リディアン、リディアン#9
VIm7(b5) ロクリアン2
bVII7 ミクソリディアン
VIIdim7 オルタードbb7
VIIm7(b5) ロクリアンb4(スーパーロクリアン)
  • ロクリアン2はロクリアンの第2音を半音上げる意味から、ロクリアン#2とも呼ばれます。
  • ミクソリディアンb9b13はハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ、フリジアンドミナントと同じスケールです。

 

コードタイプ別の使えるスケール

コードのタイプ 使えるスケール
Ma7、6、9 メジャー、リディアン
Ma7(#11) リディアン
Ma7(#5) リディアンオーギュメント
mi7、9、11 ドリアン、エオリアン
mi7(b9)、11 フリジアン
mi7(b5) ロクリアン、ロクリアン2、ロクリアン6、ロクリアンb4
mi(maj7) ハーモニックマイナー、メロディックマイナー
mi6、13 メロディックマイナー、ドリアン
7 ミクソリィディアン
7sus、9sus ミクソリィディアン
7(#11) リディアン(b7)
7(#9b9#5b5) オルタード
7(b9b13) ミクソリディアン b9 b13
7(9#5b5) ホールトーン
13(#9b9) ドミナントディミニッシュ
Dim、Dim7 ディミニッシュ
Aug ホールトーン

これらを踏まえて、コード進行で使えるスケールを見つけてみましょう。

曲のキーから各コードの機能を調べる

All The Things You Areの8小節を例に、キーからコードの機能を調べてみましょう。
All The Things You Areコード進行楽譜
この進行にはbが4つ付いているので、キーはAbメジャーかFマイナーです。始まりのコードがFm7なのでFマイナーと考えることもできますが、3、4小節目でAbメジャーのV-I進行が出てくるので、ここではキー=Abメジャーで考えます。

 

マイナー、メジャーどちらで考えても使えるスケールは同じになります。コード進行の雰囲気をどう感じるかに合わせてメジャーかマイナーかを選んでも構いません。

All The Things You Areコード進行Eb7-AbMa7楽譜

キーを決めたらそのキーから作られるコードを見てみましょう。

 

Abメジャーキーから作られるコード
Abメジャーキーのコード楽譜
コード進行を分析して使えるスケールを当てはめます。

All The Things You Areコード進行アナライズ楽譜

1小節目 Fm7 Fエオリアン
2小節目 Bbm7 Bbドリアン
3小節目 Eb7 Ebミクソリディアン、Ebドミナントディミニッシュ
4小節目 AbMa7 Abメジャー
5小節目 DbMa7 Dbリディアン

 

6小節目以降のG7とCMa7はAbメジャーキー以外のコードなので、転調していると判断できます。何のキーに転調しているかはV7から見つけます。

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V7コードからキーを調べる

6小節目のG7はキーCのV7です。7小節目でCMa7に解決しているので、Cメジャーキーに転調していると分析できます。

All The Things You Areコード進行8小節アナライズ楽譜

CはキーAbにとって3度の音に当たるので、V7/III-IIIMa7と書くのがおすすめです。

 

コードの機能が分析できたらスケールを当てはめてみましょう。

6小節目 G7 Gミクソリディアン、Gドミナントディミニッシュ
7小節目 CMa7 Cメジャー

CMa7は機能としてはIMa7なのでメジャースケールが使えます。V7ではさまざまなスケールが使えるので選び方を細かくみていきましょう。

V7で使えるスケールの選び方

V7では使えるスケールが4種類あるので、好きな響きのするスケールを選んで弾くことができます。またキーによって使い分けたり、前のコードによって使い分ける方法を知っておくと、その曲の雰囲気にあったスケールを選ぶことができるようになります。V7で使えるスケールの度数を比べてみましょう。

 

Gミクソリディアン
Gミクソリディアンスケール
Gミクソリディアンb9b13
Gミクソリディアンb9b13スケール
Gオルタード
Gオルタードスケール
Gドミナントディミニッシュ
Gドミナントディミニッシュスケール

 

まずはメジャーキーのV7で使えるスケールとマイナーキーのV7で使えるスケールに分けてみましょう。分け方はそのキーの3度がメジャーかマイナーかです。G7の場合はキーがCなので、E音が入っていればメジャー。Eb音が入っていればマイナーになります。

 

メジャーキーのV7で使えるスケール

 

Gミクソリディアン
Gミクソリディアンスケール
Gドミナントディミニッシュ
Gドミナントディミニッシュスケール

 

マイナーキーのV7で使えるスケール

 

Gミクソリディアンb9b13
Gミクソリディアンb9b13スケール
Gオルタード
Gオルタードスケール

 

上記の選択はあくまで自然に響くスケールなので、これしか使えないというわけではありません。最終的にはどんな響きを表現したいかを基準にしてスケールを選びます。

転調前のコードスケールを考える

ではAll The Thing You Are6小節目のG7は何スケールが最適でしょうか。

All The Things You AreのG7で使えるスケールは楽譜

コード進行には音を持続させたいという性質があります。5小節目のDbMa7で使えるDbリディアンスケールの音をそのままG7で使うと何度の音になるのか確認してみましょう。

 

DbリディアンスケールをG7で弾いたときの度数
DbリディアンスケールをG7で弾く

 

ここにはCメジャーキーのE音が含まれていません。つまりDbMa7-G7と進む場合、G7ではGミクソリディアンb9b13とGオルタードを使ったほうが、コード進行の流れに合った響きになります。

All The Things You AreのG7で使えるスケール楽譜

 

曲のキーで出てくるV7はメジャーに解決しているかマイナーに解決しているかでスケールを選び、転調して出てくるV7は前のコードのスケール音から判断することで、コード進行の流れを活かしたスケールを弾くことができます。

 

キーの無いコード進行でのスケール選び

スタンダードの中には曲中での転調が多く調号をつけられない曲があります。その場合はコードの機能ではなく、コードタイプから使えるスケールを見つけていきます。Day WavesのBセクション8小節を例に実際に使えるスケールをみていきましょう。


DayWavesコード進行
1小節目のF#m7(b5)で使えるスケールは、F#ロクリアン、F#ロクリアン2、F#ロクリアンb4の3種類です。この中から好きな響きのするスケールを選びましょう。ここではF#ロクリアンを選んでみます。

F#m7(b5)で使えるF#ロクリアンスケール

FmM7はFメロディックマイナーかFハーモニックマイナーが使えます。この2つのスケールの違いは6thの音です。b6th(Db音)ならハーモニックマイナー、6th(D音)ならメロディックマイナーになります。前のコードで使えるF#ロクリアンにはD音が含まれているので、FmM7ではFメロディックマイナースケールが最適になります。

FmM7で使えるFメロディックマイナースケール

 

C/EはCトライアドの3rdがベースになっているだけなので、Cコードと考えます。使えるスケールはメジャーかリディアン。重要なのは11thの音です。#11th(F#音)ならリディアン、11th(F音)ならメジャーになります。前のコードで使えるFメロディックマイナーにはF音が含まれているので、C/EではCメジャースケールが最適になります。

C/Eで使えるCメジャースケール

 

B7/D#はB7コードの3rdがベースになっているのでB7と考えます。7thコードは選択肢が多いのでまずは9thに注目してみましょう。前のコードスケールはCメジャー。ここにはB7のb9(C音)と#9(D音)が含まれています。この音が含まれるスケールはBオルタードかBドミナントディミニッシュです。次に5thをみてみましょう。CメジャースケールにはB7の#5(G音)が含まれているので、B7ではBオルタードスケールが最適になります。

B7で使えるBオルタードスケール
ドミナントコードで使えるスケールは選択肢が多いので、少しずつ絞っていく方法が最適です。

 

G/DはGコードの5thがベースになっているのでGコードと考えます。ここでは11thの音が判断の材料になります。BオルタードにはGコードの11th(C音)が含まれているので、Gメジャースケールが最適です。

G/Dで使えるGメジャースケール

 

次のA7(b9)/C#はA7コードの3rdがベースになっているので、A7と考えます。(b9)とテンションが指定されている場合は、テンションを優先します。b9が含まれるスケールは、AオルタードかAドミナントディミニッシュ。GメジャースケールにはA7の5th(E音)が含まれているので、Aドミナントディミニッシュスケールが最適になります。

A7/C#で使えるAドミナントディミニッシュスケール

 

F/CはFの5thがベースになっているのでFコードと考えます。AドミナントディミニッシュスケールにはFの11th(Bb音)が含まれているのでFメジャースケールが最適です。

F/Cで使えるFメジャースケール

 

最後のAb7sus4コードは前後に関係なくミクソリディアンスケールを選ぶのが最適です。

Ab7sus4で使えるAbミクソリディアン

以上が使えるスケールの第一候補です。早速弾いてみましょう。

8小節でのアドリブ例

DayWavesでのアドリブ
調号、V7からスケールを見つける方法と、前のスケールから見つける方法の2つを使えば、ほとんどの曲で使えるスケールを適切に選ぶことができます。ただこれらの方法で導き出したスケールしか弾けないというわけではありません。あくまで最初の選択として最適なスケールが分かるだけなので、そこから自分の表現したい響きに合うスケールにアレンジしてみてください。

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