アドリブ練習の例の曲として上がっている枯葉のコード進行に関してですが、ラスト4小節の1小節目がこのサイトではEbM7、黒本ではEb7となっています。

Eb7とEbM7の場合でアナライズは変わってくるでしょうか?

はい。変わってきます

EbMa7は前のコードFm7-E7からII-V-Iになっているとアナライズしていますが、Eb7の場合は次のD7対するV7の裏コードとアナライズできます。

Eb7はA7の裏コード
Eb7にした楽譜

A7はD7に対するV7
A7にした楽譜

 

EbMa7、Eb7どちらもAm7(b5)から派生したものとアナライズすることもできます。

GマイナーキーのII-V-I
Am7(b5)-D7-Gm7にした楽譜

Am7(b5)をEbベースにするとEb6になります

Am7(b5)/Eb-D7-Gm7にした楽譜
Eb6-D7-Gm7にした楽譜

EbMa7はEb6の仲間という解釈です。

 

GマイナーキーのII-V-I
Am7(b5)-D7-Gm7にした楽譜

D7に進みやすくするためにAm7(b5)をA7に置き換え
A7にした楽譜

Am7(b5)をA7(II7)にしてD7(V7)へ進みやすくする手法はドミナントコードが続くことからダブルドミナント(またはドッペルドミナント)と呼びます。

アドリブする場合のスケールについて

EbMa7の場合はEbリディアンスケール。Eb7の場合はEbリディアンb7スケールが使えます。

Ebリディアンスケール
Ebリディアンスケール楽譜

Ebリディアンb7スケール
Ebリディアンb7スケール楽譜
この2つのスケールはD音の違いだけです。

D音を強調させなければ、バックのコードを気にせず好きな響きのする方を選んで弾くことができます。

 

EbMa7に対してEbリディアンb7スケールを弾いた例

EbMa7に対してEbリディアンb7スケールを弾いた楽譜

 

Eb7に対してEbリディアンスケールを弾いた例

Eb7に対してEbリディアンスケールを弾いた楽譜

コンピングする場合のコードについて

コンピングはどのコードを選んで弾いても構いません。アドリブ奏者と想定しているコードが違うことでジャズらしい響きを演出できます。

例えばアドリブ奏者がAm7(b5)を想定してマイナー251リックを弾いたとします。

Gマイナーキーの251リック
Gマイナーキーの251リック楽譜

Am7(b5)をEbMa7、Eb7、A7でコンピングした場合を聴いてみてください。

EbMa7でコンピング

Gマイナーキーの251リックをEbMaj7コード上で使った楽譜

Eb7でコンピング

Gマイナーキーの251リックをEb7コード上で使った楽譜

A7でコンピング

Gマイナーキーの251リックをA7コード上で使った楽譜

アドリブとコンピングが別のコードを想定していてもしっかりとサウンドします。

ジャズ用語
元のコードに対して別のコードを想定する手法をスーパーインポーズと呼びます。

コード進行の違う楽譜はスーパーインポーズを試す良い材料なので、アナライズしながらスーパーインポーズの響きも楽しんでみてください。

*