ハーモニックマイナースケールから出来るコードは、マイナーキーのジャズスタンダードで必ず出てくる重要なコード。
とくによく使われるIIm7(b5)-V7はハーモニックマイナースケールを使ったコード進行です。
ここではCハーモニックマイナースケールを例に、各コードの機能と代理コードを紹介していきます。
コードの響きを覚えて、曲の分析や代理コードを使ったリハモのアイデア、作曲に役立ててください。
ハーモニックマイナースケールから作る7つのコード
Cハーモニックマイナースケール
![Cハーモニックマイナースケール楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/c-harmonic-minor-scale.png)
ハーモニックマイナースケールの各音から1つおきに音を積み上げるとコードが出来ます。
C音から1つおきに積み上げた場合
![Cハーモニックマイナースケールを1つおきに積む楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/c-harmonic-minor-scale-stack.png)
コードには3音積みの3和音(トライアド)と4音積みの4和音(テトラッド)があります。
ハーモニックマイナースケールから作る3和音
![Cハーモニックマイナースケールからできる3和音楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/triad-from-c-harmonic-minor-scale.png)
コードネームをローマ数字で表記すると次のようになります。
![Cハーモニックマイナースケールからできる3和音ローマ数字表記楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/triad-from-c-harmonic-minor-scale-roma.png)
ローマ数字表記で覚えておくと、キーが変わっても対応できるので便利です。
ハーモニックマイナースケールから作る4和音
![Cハーモニックマイナースケールからできる4和音楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/tetrad-from-c-harmonic-minor-scale.png)
ジャズスタンダードのコード進行は4和音で表記されることが多いです。ローマ数字でも覚えておきましょう。
![Cハーモニックマイナースケールからできる4和音ローマ数字表記楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/tetrad-from-c-harmonic-minor-scale-roma.png)
各コードの機能
ダイアトニックコードのI、IV、Vはそれぞれトニック、サブドミナント、ドミナントと呼びます。
Cハーモニックマイナーの場合は、CmMa7、Fm7、G7。まずはそれぞれがどんな響きなのか弾いて覚えておきましょう。
トニックの響き
![Cハーモニックマイナースケールのダイアトニックコードのトニックの響き楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/c-harmonic-minor-scale-tonic.png)
ドミナントの響き
![Cハーモニックマイナースケールのダイアトニックコードのドミナントの響き楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/c-harmonic-minor-scale-dominant.png)
サブドミナントの響き
![Cハーモニックマイナースケールのダイアトニックコードのサブドミナントの響き楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/c-harmonic-minor-scale-sub-dominant.png)
他のコードII、bIII、bVI、VIIはそれぞれI-IV-Vどれかの仲間として分類(代理)できます。
機能 | コード | 代理コード |
トニック | ImMa7 | bIIIMa7(#5) |
サブドミナント | IVm7 | IIm7(b5) bVIMa7 |
ドミナント | V7 | VIIdim7 bIIIMa7(#5) |
なぜこのような分類になるのか検証していきましょう。
代理コードの見つけ方
ImMa7、IVm7、V7の代理コードはギターのコードフォームから見つけることができます。コードフォーム内に他のコードの構成音(コードトーン)が入っていれば、そのコードの代理として使うことができるのです。
CmMa7(Im7)の代理コード
5弦ルートのCmMa7ドロップ2ボイシング
![5弦ルートのCmMa7コードフォームダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/cmma7-drop2-root-5.png)
4〜2弦Ebオーグメントになっています。
![5弦ルートのCmMa7コードフォームダイアグラムから見るEオーグメント](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/cmma7-drop2-root-5-eb.png)
Ebをルートとして見たときの度数
![5弦ルートのEオーグメントダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/cmma7-drop2-root-5-eb-aug.png)
このことからCmMa7はEbMa7(#5)に代理することができます。
機能 | コード | 代理コード |
トニック | CmMa7 | EbMa7(#5) |
Fm7(IVm7)の代理コード
6弦ルートのFm7・ドロップ3ボイシング
![5弦ルートのFm7コードフォームダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-natural-minor/fm7-drop3-root-6.png)
5、4、2弦がDm7(b5)のコードトーンになっています。
![5弦ルートのFm7コードフォームダイアグラムから見るDm7(b5)](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-natural-minor/fm7-drop3-root-6-dm7b5.png)
Dをルートとして見たときの度数
![5弦ルートのDm7(b5)ダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-natural-minor/fm7-drop3-root-6-dm7b5-tetrad.png)
このことからFm7はDm7(b5)に代理することができます。
4〜2弦Abトライアドになっています。
![5弦ルートのFm7コードフォームダイアグラムから見るAマイナートライアド](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-natural-minor/fm7-drop3-root-6-abma7.png)
Abをルートとして見たときの度数
![5弦ルートのAマイナートライアドダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-natural-minor/fm7-drop3-root-6-abma7-triad.png)
このことからFm7はAbMa7に代理することができます。
機能 | コード | 代理コード |
サブドミナント | Fm7 | Dm7(b5)、AbMa7 |
G7(V7)の代理コード
6弦ルートのG7ドロップ3ボイシング
![6弦ルートのG7コードフォームダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/g7-drop3-root-6.png)
4〜2弦がBdimトライアドになっています。
![6弦ルートのG7コードフォームダイアグラムから見えるBディミニッシュトライアド](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/g7-drop3-root-6-b.png)
Bをルートとして見たときの度数
![5弦ルートのBdimダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/g7-drop3-root-6-b-dim-triad.png)
このことからG7はBdim7に代理することができます。
実はGトライアドが含まれているコードがあります。それがEbMa7(#5)。
EbMa7(#5)のダイアグラム
![5弦ルートのEbMa7(#5)コードダイアグラム](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/ebma7s5-drop2-root-5.png)
4〜2弦がGトライアドになっています。
![5弦ルートのEbMa7(#5)のダイアグラムから見えるGトライアド](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/ebma7s5-drop2-root-5-g.png)
Gをルートとしたときの度数
![5弦ルートのEbMa7(#5)のダイアグラムのGをルートとした度数](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/ebma7s5-drop2-root-5-g-root.png)
機能 | コード | 代理コード |
ドミナント | G7 | Bdim7、EbMa7(#5) |
代理コードを使ったコード進行の響き
コードフォームから代理コードを見つけたら、その響きを覚えましょう。音楽理論は必ず響きを確認することが大切です。
ここではIVm7-V7-ImMa7を基本コード進行として、それぞれ代理コードに置き換えて弾き比べます。
基本のコード進行
![Fm7-G7-CmMa7楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/fm7-g7-cmma7.png)
ImMa7の代理コード
CmMa7をEbMa7(#5)に代理した響き
![Fm7-G7-EbMa7(#5)楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/fm7-g7-ebmaj7s5.png)
EbMa7(#5)のボイシングは4〜2弦がGトライアドになるので、CmMa7の代理としては弱くなります。Ma7を入れずEbaugとして代理するのがおすすめです。
CmMa7をEbaugに代理した響き
![Fm7-G7-Ebaug楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/fm7-g7-ebaug.png)
IVm7の代理コード
Fm7をDm7(b5)に代理した響き
![Dm7(b5)-G7-CmMa7楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/dm7b5-g7-cmma7.png)
Fm7をAbMa7に代理した響き
![AbMa7-G7-CmMa7楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/abmaj7-g7-cmma7.png)
V7の代理コード
G7をBdim7に代理した響き
![Fm7-Bdim7-CmMa7楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/fm7-bdim7-cmma7.png)
G7をEbMa7(#5)に代理した響き
![Fm7-EbMa7(#5)-CmMa7楽譜](https://www.jazzguitarstyle.com/theory/diatonic-chords-harmonic-minor/fm7-ebma7s5-cmma7.png)
弾き比べるときは、代理コードにすることで印象がどう変わるかを覚えておくことが大切です。
また代理コードは、理論的に合っていても響きがカッコよくなければ使わない、逆に理論に合っていなくても自分の耳がカッコいいと思えば積極的に使うことができます。
理論を学ぶときは自分の耳がどう感じるかを優先してみてください。
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