ビッグバンドのリズムギターとジャズギターでは多少違うかもしれませんが、ある本に「カウントベイシー楽団のフレディ・グリーンをはじめとするビッグバンドのギタリストは、楽譜にコードがどんな風に書いてあろうがトライアドと7thと6thしか弾かない。」と書いてありました。
これは本当なのですか?
今までずっと難しいテンションコードを必死に覚え、弾けるようになるまでかなり苦労して練習してやっと最近弾けるようになってきたところだったのですが・・・。
本当です
ビッグバンドにおけるギターの役割は、「コードのカラーを演出する」よりも、「リズムセクションの一員としてビートを支える」ことにあります。
そのため、テンションコードではなく、3度と7度を中心にしたシンプルなコードフォームが基本になります。
ただし、「テンションコードを使ってはいけない」というルールがあるわけではありません。
コードは知らないより知っていたほうがよいので、 苦労して弾けるようになった事は、これから別の場面で活かせると思います。
ここではテンションコードと3度、7度でどう響きが変わるか、演奏例を紹介しますので聴き比べてみてください。
テンションコードを使ったリズムギター

テンションコードを使うと、「リズムセクションの一部」というよりも、コードの色彩を積極的に演出する存在になります。
ルート、3度、7度を使ったリズムギター

ルート、3度、7度だけでも、リズムセクションとしての役割は十分果たせます。
5度ベースを含んだビッグバンドでのリズムギター
Db7のように、5弦ルートのコードフォームは、ルートの代わりに6弦の5度を弾くフォームもよく使われます。
これは6弦ルートのコードフォームの指使い(6弦を中指で押弦)を平行移動して使えるようにするために、指の形を統一しておくという理由もあります。
ただ、5、6弦の音を弾くとベースとぶつかってしまうこともあるので、ルートや5度は省略して弾くのがおすすめです。
ルートを省略した3度と7度のリズムギター
5、6弦は弾かないわけではなく、ミュート(タブ譜の「X」)してパーカッシブにピッキングします。まさにリズム楽器としての役割です。
フレディ・グリーンはさらに音を減らして1音だけで弾いていることもあります。また同じコードが続く場合は2拍ごとにトップノートを動かし、メロディのようなラインを作っていることもあります。
キーAbのブルースでのリズムギター

ビッグバンドのリズムギターで大切なのは、「できるだけシンプルコードを使うこと」、そして「リズム隊の一員であるという意識を持つこと」です。
テンションコードは使いませんが、たとえばF7の9th(11小節目)など、テンション・ノートをトップノートとして入れることで、リズム隊でありながらメロディラインを隠し味で入れられるようなリズムギターが理想だと思います。
ビッグバンドのリズムギターが学べるアルバム
フレディ・グリーンの「Mr.Rhythm」はビッグバンドでのリズムギターの立ち回りが全て分かる貴重なアルバムです。ぜひチェックしてみてください。