ジャズギターを練習していると、必ずと言っていいほど出会うのがII-V(ツーファイブ)進行。キーCメジャーで言えば、Dm7 – G7 です。この進行をいかに歌心を持って、スムーズに弾きこなせるかが、ジャズギター上達の鍵と言えます。
今回は紹介するのはDm7-G7で使えるウェス・モンゴメリーリック。その魅力を解説します!

なぜカッコいい?リック徹底解剖
このリックの特徴はなんといってもそのリズム。4分から8分3連の流れはジャズでとてもよく使われます
- Dm7部分:
- Dm7の5度(A音)からA→F→D→Cとコードトーンを下降して、コード感を明確にしています。
- G7の3rdであるB音へ半音でアプローチしているのもポイント。
- G7部分:
- Cトライアドの5度-3度-ルートの下降を使い、C/Gコードの響を演出しているのがポイント。
- ポイント:
- このリックは、コードトーンをしっかり捉え、リズムでアクセントをつけることを意識しましょう。
- スウィングのリズムで弾くことを忘れずに。
リック完全マスター練習法 3ステップ
ステップ1:まずは音とリズムを正確に!
どんなフレーズも、音符とリズムを正確に理解することが全ての始まりです。ここでは速く弾くことは全く考えなくてOK。じっくり時間をかけて、フレーズの骨格を掴みましょう。
ステップ2:ゆっくり反復!フレーズを体に染み込ませる
フレーズが頭に入ったら、次はそれをスムーズに弾けるように体に覚え込ませる段階です。このステップで欠かせないのがメトロノームです!メトロノームを♩=70〜90程度のゆっくりなテンポに設定し、スウィングのリズムで弾く練習をします。安定して弾けるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。速くなってもリズムが崩れないように。
ステップ3:実践!バッキングに合わせて弾きこなす
リックが安定して弾けるようになったら、最終ステップ!いよいよ実際の音楽の中で使えるように練習します。Dm7-G7のバッキングトラックに合わせて弾いてみましょう。2拍ずつ、あるいは1小節ずつのコードチェンジなど、様々なパターンで練習すると実践的です。
アドリブが広がる!リック応用&発展アイデア
ウェスのリックがマスターできたら、次はそれを元に、あなただけのリックへと発展させてみましょう。ここではリックに少し手を加えるだけで、アドリブの幅がぐっと広がる3つの応用アイデアを紹介します。
スタート音を変えてみる
フレーズの始まりの音は、そのリックの「顔」とも言える重要な要素。 元のリックのメロディラインやリズムの良さは活かしつつ、スタート音を変えるだけで、フレーズの雰囲気や聴こえ方がガラッと変わります。このリックの構造(コードトーンやスケールの使い方)を理解すれば、自分なりに音を変えることもできます。
スタート音をDm7のb7th(C音)に変えた例

音の流れを逆に!【上昇ライン・下降ラインで新たな展開を】
元のリックが下降ライン中心なら上昇ラインに、逆に上昇ライン中心なら下降ラインに変えてみるのも、非常に効果的なアレンジ方法です。メロディの方向性が変わることで、フレーズに新しい動きと表情が生まれます。スタートの音を変えつつ、元のリックとは反対にコードトーンの上行にしてみましょう。
Dm7のルート(D音)からアルペジオを上昇させた例

Dm7のb3rd(F音)から上昇させて、音使いも変えた例

リックを延長!【物語を続けるように次のフレーズを繋ぐ】
元のリックを魅力的な「第一章」として、その後に続く「第二章」となるフレーズを追加することで、物語性のあるメロディラインへと発展させることができます。短いリックを繋ぎ合わせて、あなただけのアドリブフレーズを組み立てていきましょう!
元のリックの後にフレーズを追加した例

このように、元となるリックをしっかりと理解し、それを活かしながらアレンジを加えることで、フレーズの引き出しが無限に広がります。
ここで紹介したアイデアは、あくまで出発点です。ぜひ、これらのヒントを元に、色々なアプローチを試して、あなただけのオリジナルリック作りに挑戦してみてください。その試行錯誤こそが、アドリブ上達への一番の近道です。
ウェスのリックを練習するあなたへ
今回は、Dm7-G7(II-V)進行で使えるウェス・モンゴメリーリックを紹介しました。
コードの響きを大切にし、メロディックに歌うようなラインは、どんなスタイルのジャズにおいても有効なアプローチです。このリックがII-Vでのアイデアを広げる手助けになれば幸いです。
ぜひ繰り返し練習して、あなたのレパートリーに加えてください。
それでは、次回のジャズフレーズもお楽しみに!
出典音源とアルバム情報
The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery