「アプローチノートって何だろう」「どうやって使うんだろう」と疑問に思ったことはありませんか。
アプローチノートはメロディを装飾する音の総称で、ジャズのアドリブはターゲットとなる音とアプローチノートが絶妙に組み合わさって出来ています。
アプローチノートを理解するとジャズのアドリブを分析できるようになり、 自分でもジャズフレーズを作り出せるようになります。
ここでは、jazzguitarstyle.com独自のアプローチノートの定義と、分析例、オリジナルリックの作り方を紹介していきます。
アプローチノートの定義
ジャズのアプローチノートは単音でコードを表現するために発展した手法で、コードトーン以外の音を指していました。
CMa7ならC-E-G-Bがコードトーン。D-F-Aのテンションとそれ以外の音C#-D#-F#-G#-A#がアプローチノートになります。

現在では、ターゲットとなる音を装飾するあらゆる音がアプローチノートと見なされ、その動き方によって分類されます。

まずは4和音のコードトーンに対して使えるアプローチノートを見ていきましょう。
5つのアプローチノート
アプローチノートはその使い方によって名前が付けられています。特によく使われる5つを紹介します。
パッシングトーン(PT)
コードトーン同士を、隣の音を経由してスムーズにつなげる音をパッシングトーンと呼びます。

ネイバートーン(NT)
コードトーンの隣の音をネイバートーンと呼びます。

チェンジングトーン(CT)
上下、または下上からはさみこむように装飾する音をチェンジングトーンと呼びます。
はさみこむ音がネイバートーンになることから、ダブルネイバートーンとも呼ばれます。

エスケープトーン(ET)
逆方向へ進んでからコードトーンへ進む音をエスケープトーンと呼びます。
隣合うコードトーンに対して使うエスケープトーン

1つおきのコードトーンに対して使うエスケープトーン

2つおきのコードトーンに対して使うエスケープトーン

アポジャトゥーラ(APP)
コードトーンを飛び越えてからコードトーンに進む音をアポジャトゥーラと呼びます。
隣合うコードトーンに対して使うアポジャトゥーラ

1つおきのコードトーンに対して使うアポジャトゥーラ

2つおきのコードトーンに対して使うアポジャトゥーラ

以上5つがよく使われるアプローチノートです。これさえ覚えておけばジャズリックも分析できるようになります。
リックを分析してみよう
実際のリックを分析していくことでアプローチノートの使い方が身につきます。ここではCMa7で使うリックを分析してみましょう。
リック1

まずはコードトーンを抜き出します。
コードトーン

コードトーンに対してどんなアプローチノートを使っているかを分析します。
アプローチノート

このようにリックをコードトーンとアプローチノートに分けることで、仕組みを理解することができます。もう1つ分析してみましょう。
リック2

コードトーンを抜き出します。
コードトーン

コードトーンにどのアプローチノートを使っているかを分析します。
アプローチノート

1小節め
2小節め
分析は数をこなすことで身についてくるので、カッコいいと思ったリックをどんどん分析してみてください。
リックを作ってみよう
リックが分析できるようになれば、その逆の手順で作ることもできます。まずはコードトーンを使ったシンプルなメロディを作ります。
コードトーンを使ったメロディ1

このメロディに対して、自由にアプローチノートを加えます。
アプローチノートを加えたメロディ1

ここでは次のアプローチノートを加えています。
完成したリック1

もう1つ作ってみましょう。
コードトーンを使ったメロディ2

このメロディに対して好きなアプローチノートを加えます。
アプローチノートを加えたメロディ2

ここでは次のアプローチノートを使いました。
完成したリック2

コードトーンで作ったメロディに対しアプローチノートを加えることで、ジャズらしいリックにすることができます。
はじめのうちは時間がかかりますが、慣れてくるとアプローチノートを加えた状態のメロディを瞬時に作り出せるようになります。
そしてそれがアドリブになるのです。
自分が「カッコいい」と感じるフレーズの仕組みが分かると、音楽を聴くのも、演奏するのも、もっと楽しくなります。ぜひ、その楽しさを味わいながら練習に取り組んでみてください。