I Love YouはマイナーキーのIIm7(b5) – V7からIMa7へ解決するコード進行が特徴です。
マイナーII – V – Iリックの I をMa7にアレンジする必要があるので、II – V – Iを使いこなす練習に最適な曲とえいます。
ここではリアルブックに載っているコード進行を基に、分析とアドリブ例を紹介します。
I Love Youのコード進行

I Love YouはA-A-B-Aフォーム32小節の曲です。
コード進行分析の目的は、各コードの機能を理解し、使えるスケールを見つけ出すことです。
jazzguitarstyle.comでは以下4つの順番で分析していきます。
- 曲のキーを調べる
- 各コードの機能を調べる
- 使えるスケールを見つけ出す
- アドリブで実際に使ってみる
I Love Youのキー
キーは、調号と曲の終わりのコードを見ることで判断することができます。

I Love Youの調号はフラットが1つ付いているので、キーはFメジャーかDマイナーになります。
曲の最後を見るとFMa7で終わっているので、Fメジャーキーが最適です。

Fメジャーキーで使えるコードをローマ数字(度数)で覚えておくと、コード進行を分析するときに役立ちます。
Fメジャースケールからできるコード

II-V-Iを調べる
あらかじめ II – V – I の場所を調べておくと分析に役立ちます。II-Vには下受け皿、V-Iには矢印を使います。

ここで重要なのが、最初のGm7(b5)です。これはFメジャースケールのダイアトニックコードではありません。同主調であるFマイナーキーから借用されたコードです。
Fマイナースケールからできるコード

これらを踏まえてコード進行を度数表記していきます。
コード進行分析

[A’]で出てくるBm7-E7-AMa7は、解決先のAMa7がFメジャーキーにとって何度なのかを調べ、それを基準にII-V表記します。
AはFにとって3度の音なのでIII。
IIIへ向かうII-Vなので、それぞれIIm7/III、V7/IIIと分析します。
コード進行を度数表記するメリットは、使えるスケールを的確に選べることと、移調しやすくなることです。スタンダードを学ぶときは度数表記を使って分析してみてください。
各コード使えるスケール

スケールの選択肢は1つではないですが、まずは基本となるスケールを1つ選びその響きを覚えることが大切です。
度数別の使えるスケールは「コード進行から使えるスケールを見つけ出す3つの方法」のページで紹介しています。
Gm7(b5)-C7-FMaj7でのアドリブ練習法
「使えるスケールは分かった。でも、アドリブができない…」
誰もがぶつかるその壁を、特に大切な3つの練習で乗り越えていきましょう。
- コード進行の響きを覚える
- スケールの響きを覚える
- ジャズフレーズ・リックを覚える
順を追って実践していきます。
コード進行の響きを覚えるコードトーン練習
コード進行の響きはコードトーンを弾くことで簡単に覚えることができます。
コードトーンは各コードの構成音のことです。まずは各コードのルートからコードトーンを弾いていきます。

ルートの響きに慣れてきたら一番近い次のコードのコードトーンへつなげていきます。
この練習は指板上のコードトーンの配置を覚えるのにも役立ちます。

スケールの響きを覚える練習
コードトーン同様に各コードのルートから始め、一番近い次のコードのスケールへつなげる練習です。
Gm7(b5)ではGロクリアンスケール、C7ではCコンディミ、FMa7ではFメジャーを使っています。


Gm7(b5)-C7の別解釈
ここまでの解説では、Gm7(b5)をFマイナーのIIm7(b5)、C7をFメジャーのV7として扱いました。しかし、このGm7(b5)からC7への流れ全体を、「FマイナーキーのII- V」として捉えることも可能です。


C7をマイナーのV7と捉えることで、オルタードスケールも選択肢に入ります。どんな響きになるか弾いていきましょう。
C7でCオルタードを使ったスケール練習


コード進行は少し見方を変えるだけでスケールの選択肢が増えます。自分がカッコいいと思えるスケールを選ぶことが大切です。
ジャズフレーズ・リックを覚える
リックはコードトーンやスケールをどう使えばジャズらしくなるのかが学べる重要なものです。好きなアーティストの演奏からコピーしてストックしておくのがおすすめです。


コードトーン、スケール、リックを使ったアドリブ例

アドリブの基礎練習は4〜8小節単位や各セクションごとでやっていくのが効率的です。基礎練習が終わったら曲を通してアドリブしてみましょう。
I Love Youでのアドリブ例
コード進行分析から選んだスケールを中心に、II-V-Iリック、コードトーンを使ったアドリブ例を楽譜にしたので参考にしてみてください。






ギタリストのおすすめ音源
I Love Youを取り上げているジャズギタリストの中でもおすすめの音源です。
ジョー・パス
トリオ編成でのメロディの歌わせ方、コードソロの使い方、コンピングが学べます。
タル・ファーロウ
ドラムレスの編成なので4分刻みのコンピングも聴くことができます。
マイク・スターン
ジョー_パスとは対照的な音色やアドリブのフレージング、コンピングが学べます。
ピーター・バーンスタイン
CDでは取り上げていませんが、YouTubeで多くのライブバージョンを見ることができます。王道のジャズスタイルを現代で演奏するとどうなるかを体現している最高峰のジャズギタリストです。