マイナーブルースはマイナーペンタトニックスケールだけでもアドリブできるので、ロックやブルースから入った人が、これからジャズを学びたいというときにおすすめのコード進行です。
ここでは、マイナーペンタにコードトーンとリック(短いフレーズ)を加えてアドリブする方法を紹介します。
コードトーンとリックを加えることでジャズらしいアドリブができるようになるので、「マイナーペンタなら弾ける」という方はぜひ挑戦してみてください。
マイナーブルースのコード進行
ここではCマイナーキーのマイナーブルースを使って練習していきます。
Cm7、Fm7、Ab7、G7の4つのコードでできているのが特徴です。バリエーションはさまざまありますが、マイナーブルースと言えばこのコード進行が基本になります。
マイナーペンタトニックスケールとb5の響き
Cマイナーブルースで使えるスケールはCマイナーペンタトニックスケールです。まずはこのスケールだけでアドリブしてみましょう。
ポジションは指板上のどこを使ってもかまいません。ここではギタリストが最初に覚える6弦ルートのポジションで紹介します。
Cマイナーペンタトニックスケールの8フレットダイアグラム
Cマイナーペンタトニックスケールを使ったアドリブ
コード進行が変わってもCマイナーペンタトニックスケールで弾ききることができます。
ブルースの響きを演出するb5を加えたスケールでもアドリブしてみましょう。
Cマイナーペンタトニックスケール+b5の8フレットダイアグラム
Cマイナーペンタトニックスケール+b5を使ったアドリブ
b5の音を加えると11th-b5th-5thとクロマチックの響きを演出できます。
マイナーペンタトニックスケール+b5でアドリブできるようになったら、ジャズらしくなるコードトーンを加えていきましょう。
コードの構成音のことをコードトーンと呼びます。Cm7ならC、Eb、G、Bbがコードトーンです。
このサイトでは度数でコードトーンを表記するので、Cm7のコードトーンはR(ルート)、b3rd、5th、b7thになります。
コードトーンを覚えよう
ジャズのアドリブは伴奏者がいなくてもコード進行をイメージさせられることに特徴があります。そこで使うのがコード進行をイメージさせられるコードトーンです。
まずは各コードのコードトーンの指板上の配置を覚えましょう。
Cm7のコードトーンダイアグラム

Fm7のコードトーンダイアグラム

Ab7のコードトーンダイアグラム

G7のコードトーンダイアグラム

コードトーンの配置を覚えたらマイナーブルースに合わせて弾いていきます。
この練習はコードごとに音を使い分ける基礎になります。またカラオケに合わせて弾くことでリズムトレーニングにもなります。
コードトーンを各コードのルートから弾く練習
ルートから弾くのに慣れてきたら、一番近い次のコードのコードトーンへつなげる練習をします。この練習はコード進行を各コードごとではなく、「12小節でひとまとまり」と捉えるのに役立ちます。
コードトーンをスームズにつなげる練習
コードトーンがスムーズにつなげられるようになったら、コードトーンだけを使ってアドリブしてみましょう。
今までは4分音符を使ってきましたが、8分音符や3連符を加えて、「リズムにコードトーンを当てはめる」練習をしてみてください。
コードトーンを使ったアドリブ練習
コードトーンの練習をするとコード進行の響きを覚えることができます、
コード進行の響きが頭の中に入っていると、アドリブするときに自然とコードトーンが弾けるようになってきます。
伴奏がなくてもマイナーブルースのコード進行が頭の中に鳴るようになるまで練習してみてください。
ジャズフレーズ・リックを覚えてみよう
マイナーペンタトニックスケールとb5、コードトーンを使ってアドリブしていきますが、はじめはジャズらしくなりません。
そこで、ジャズらしい響きのする短いフレーズ(リック)を覚えてみましょう。
短いフレーズのことをリックと呼びます。
Cm7で使えるリック1

Cm7で使えるリック2

Cm7で使えるリック3

Cm7で使えるリック4

リックは好きなアーティストからコピーするのがおすすめですが、自分で作り出すこともできます。
とくにペンタトニックスケールは規則的なパターンを繰り返すだけでもリックになります。
Cm7リック1、2、4はCマイナーペンタトニックスケールのパターンを使っています。
Fm7で使えるリック1

Fm7で使えるリック2

Fm7で使えるリック3

Fm7で使えるリック4

Fm7のコードトーンとCマイナーペンタトニックスケールの組み合わせで作っています。
Ab7で使えるリック1

Ab7で使えるリック2

Ab7で使えるリック3

Ab7で使えるリック4

Ab7のコードトーンとCマイナーペンタトニックスケールの組み合わせで作っています。
リック3の4拍目のようにクロマチックを含んだリックも作ることができます。
コードトーンからコードトーンへスムーズにつなげる音をパッシングトーンと呼びます。
Ab7リック3のようにクロマチックになる場合はクロマチック・パッシングトーンと呼びます。
G7で使えるリック1

G7で使えるリック2

G7で使えるリック3

G7で使えるリック4

G7のコードトーンとCマイナーペンタトニックスケールを組み合わせて作っています。
リックを効率的に覚える方法は「カッコいい!弾きたい!」と思ったリックだけに厳選することです。カッコいいと思ったリックは弾いていて楽しく、何度もアドリブで使いたくなります。
弾く回数と使う回数が多ければその分身につきやすくもなるのです。各コード1つに厳選してアドリブに取り入れてみてください。
マイナーペンタ+b5、コードトーン、リックを使ったアドリブ例
Cマイナーペンタトニックスケール+b5を中心に、リックを取り入れたアドリブを2コーラス音源にしました。リックがどう使われているかも意識しながら聴いてみてください。


Cマイナーペンタトニックスケール+b5のモチーフからはじめて、Fm7ではリズムモチーフ、Ab7からはリックを使っています。
マイナーブルースでのアドリブ練習法まとめ
マイナーブルースでアドリブできるようになるためのステップは4つです。
- マイナーペンタトニックスケールを使ってアドリブする
- コードトーンを覚えて、コード進行を意識する
- リックを覚えて、ジャズらしい音使いを学ぶ
- 1〜3を組み合わせてアドリブする
この4つのステップを繰り返し練習することでアドリブできるようになってきます。
また、いろいろなアーティストのマイナーブルースを聴くことも大切です。
マイナーブルースの曲を多く知っていればアドリブの引き出しが増え、表現の幅も広がります。
マイナーブルースの曲はマイナーブルースのコード進行とバリエーション、作曲者別楽曲で紹介しているので、お気に入りの1曲を見つけてみてください。