ジャズフレーズ

メジャーキーの251(II-V-I)ジャズフレーズ・リックを活用する方法

ジャズフレーズ・リックは一度にたくさん覚えようとしてもなかなか身につきません。

まずは「絶対に弾きたい」と思うリックを1つ選び、確実に覚えていくのが効率的です。

リックを覚えやすくするために重要なのが、コードフォームやコードトーンとの連携、そしてリックをアレンジすることです。

ここではCメジャーキーのポジション2のリック1を使った実例を紹介します。

コード進行とリックを連携させる

ポジション2  II-V-I リック1

ポジション2で弾く251リック・フレーズ1楽譜

このポジションで弾ける基本のコードフォームをイメージします。

Dm7

Dm7コードダイアグラム

G7

G7コードダイアグラム

CMa7

CMa7コードダイアグラム

リックで使っているテンションに合わせて、テンション付きのコードフォームをイメージするのもおすすめです。

Dm9

Dm9コードダイアグラム

G7(b9,13)

G7(b9,13)コードダイアグラム

CMa7

CMa7コードダイアグラム

コードフォームをイメージしたらそれに合わせてコードトーンを弾いていきます。この練習はコードの響きを覚えるのに最適です。

Dm7

Dm7コードトーンコードダイアグラム

G7

G7コードトーンコードダイアグラム

CMa7

CMa7コードトーンコードダイアグラム

テンション付きのコードトーンも覚えることで、よりジャズらしい響きを覚えることができます。

Dm9

Dm9コードトーンコードダイアグラム

G7(b9,13)

G7(b9、13)コードトーンコードダイアグラム

CMa7

CMa7コードトーンコードダイアグラム

コードとコードトーンを弾くのに慣れたら、コードとリックを交互に弾いていきます。

この練習はコードの上で「どんな音使いをするとジャズらしくなるか」を覚えるのに役立ちます。 

基本のコードとリック

テンションコードとリック

ポジションを変えてみよう

覚えたリックのポジションを変えて弾くことは指板上の音を配置を覚えるのにも役立ちます。

 スライドを使って横移動させた例

ポジション2リック1のポジションを変えた楽譜1

運指を変えて隣のポジションに移った例

ポジション2リック1のポジションを変えた楽譜2

ポジションの他にオクターブを変えてみるのもおすすめです。 

オクターブ上げた例

ポジション2リック1をオクターブ上げた楽譜

フレーズのオクターブ変える手法を「オクターブ・ディスプレイスメント」と呼びます。

ギターで弾くフレーズはポジションによって音色が変わります。 自分にとって最高の音色がするポジションを見つけるためにも、さまざまなポジションで弾いてみてください。

別のリックと組み合わせる

リックを組み合わせることで新しいリックを作ることもできます。

選び方は自由ですが、同じターゲットノートを使っているリックと組み合わせると自然な響きになります。 例えばポジション2のリック1と4を組み合わせると次のようになります。 

ポジション2 リック1+リック4

ポジションリック1とリック4を組み合わせた楽譜

隣のポジションのリックと組み合わせて、横移動のあるリックを作ることもできます。 

ポジション2 リック1+ポジション3 リック3

ポジション2リック1とポジション3リック3を組み合わせた楽譜

横移動のリックは、指板上を自由に動くアドリブに役立つので、積極的に試してみてください。

スタンダードのコード進行上で使う

リックを覚える目的はイヤートレーニングだけでなく、実際の曲で使うことでリズム感や演奏テクニックを向上させることにもあります。

ここでは「枯葉」の最初の8小節を例に、ポジション5のリック2を使って練習していきましょう。

枯葉の最初の8小節楽譜

ポジション5 リック2

Cメジャー251リックポジション5-2楽譜

「枯葉」のII-V-IはCm7-F7-BbMa7なので、元のリックを2フレット分低くしてキーを合わせます。 

キーBbメジャーに移調したリック2

Bbメジャー251リックポジション5-2楽譜
移調の際の注意点

リックを移調するとリックの響きも変わってしまいます。もし違和感を感じたらポジションを変えてみて、それでもダメだったら他のリックを使ってみてください。

移調したらカラオケに合わせて弾いていきます。バックのリズムに合わせて弾くことでリズムトレーニングにもなります。 リックを弾かない休符部分でもしっかりとリズムキープしてください。 

リックを弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習1楽譜

今度はリックの前後(EbMa7とGm7)にそれぞれのコードトーンを加えてみましょう。全音符、2分音符、4分音符と、徐々に音数を増やしていきます。 この練習はアドリブの基礎にもなります。 

全音符でコードトーンを弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習2楽譜

ルートと5度を選びましたが、どんな音を選んでも構いません。アドリブで選んでみてください。 

2分音符でコードトーンを弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習3楽譜

1、3拍目の音はターゲットノートと呼ばれ、聴いている人の印象に残りやすい音です。 この音を決めて、そこへ向かって装飾していく、という意識を持っておくことが大切です。

 4分音符でコードトーンを弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習4楽譜

はじめのうちはアドリブで選ぶのが難しいので、書きソロにしてじっくり選んでも構いません。 何度もやっていくうちにアドリブで演奏できるようになってきます。

常に1、3拍目の音に向かって弾くイメージを持って練習してみてください。

リズムのアレンジ

音選びに慣れてきたらリズムを変えていきます。 

8分音を使ってリックの前後を弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習5楽譜

8分音符のリズムを使って、音の上下行に動きをつけています。ウラ拍を使うことで躍動感を演出できます。 

16分音符と3連符を使ってリックの前後を弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習6楽譜

16分や3連符を加えることで表現の幅が広がります。 

全てのリズムを使ってリックの前後を弾く練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習5楽譜

リックのアレンジ

リズムを使うことに慣れてきたら、リック自体をアレンジしてみましょう。アレンジ方法は、音を減らす、音を増やすの2つです。 

リック自体を変化させる練習

Bbメジャー251リックポジション5-2を枯葉で使う練習5楽譜

Cm7では音数を減らし、F7では音数を増やしています。 減らすのは簡単ですが、増やすときは目的の音へ自然につながるようにすることが大切です。

リックの前後とリック自体の変化練習を繰り返すことで、アドリブで使えるようになってきます。 枯葉のコード進行に慣れてきたら他のスタンダードでも練習してみてください。

リックを活用する方法まとめ

  1. コード進行の響きを覚えるために、コードとコードトーンを関連させる。
  2. コードとリックを交互に弾いてジャズらしい響きを取り入れる。
  3. スタンダードのコード進行上でリックを使う。
  4. リックをアレンジしていく

上記4つの練習をすることでリックが完全に身につき、ジャズらしい響きが自分の中に蓄積されます。

ジャズフレーズ・リックは覚えるだけでなく、自由に使えるようになるまで練習してみてください。

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