まだ喋れない子供に言葉を教えるとき、「あいうえお」ではなく「パパ」「ママ」などの単語からはじめるように、ジャズでも単語を耳から覚えるのが効率的です。

ジャズの単語であるリックは、CDを聴いて弾きたいと思ったリックをコピーして覚えることができます。ここでは覚えたリックの分析法と作り方を紹介します。

リックを分析してみよう

王道のジャズリック

ジャズの王道リック譜面
リックに限らず音楽の分析には2つの方法があります。

1つは伝えたい音(ターゲットノート)を抜き出して分析する方法。
もう1つは元になるコードトーンのメロディを抜き出して分析する方法です。

ここではターゲットノートから分析する方法を紹介します。
ターゲットノートは強拍の1、3拍目に置かれるので、まずは1、3拍目の音を抜き出しましょう。

ターゲットノート
ジャズの王道リックターゲットノート譜面
ターゲットノートを装飾することでリックは作られます。装飾にはアプローチノートが使われるので、どんなアプローチノートが使われているか調べていきます。

アプローチノート
ジャズの王道リック分析例譜面
Dm7の5th=ドリアンスケール。
G7の5th=チェンジングトーンとアンティシペーション。
G7の3rd=ネイバートーンとエスケープトーン。
CMa7の3rd=ミクソリディアンb9スケール。
上記のアプローチを使っていると分析できます。

このように、リックはターゲットノートにアプローチノートを加えることで作られています。
これが分かればリックのアレンジも簡単です。例えばアンティシペーションを使わないリックにアレンジする場合は、クロマチックパッシングトーン(CPT)とネイバートーンを加えます(NT)。

アンティシペーションを使わないアレンジ

ジャズの王道リックアンティシペーションを使わないアレンジ例譜面

リックをコピーする意味はアドリブするためではなく、ターゲットノートの響きとアプローチノートの使い方を覚えるためです。つまりリックをコピーすることは最高のイヤートレーニングになるです。

ターゲットノートからリックを作ってみよう

リックが分析できるようになったら作ってみましょう。まずはターゲットノートを選びます。選び方はさまざまありますが、各コードトーン+9thの5音から選ぶのがおすすめです。

ターゲットノート
リックを作るターゲットノート譜面
ターゲットノートが決まったら自由にアプローチノートを加えていきましょう。

アプローチノート
リックを作るターゲットノートにアプローチノートを加えた譜面

Dm7の9th=Dmトライアド。
G7の3rd=Dm7のアルペジオの転回型(R-5-b7)。
G7のb7th=リディアンb7スケール。
CMa7の5th=スケール音+チェンジングトーンを選びました。

完成したリックにフィンガリングテクニックを加えて弾いてみましょう。

オリジナルのリック

オリジナルのリック

ターゲットノートにコードトーンを選ぶと安定した音になり、テンションを使うと洗練された音になります。V7コード上ではオルタードテンションを使うことで緊張感のある音にすることもできます。まずはコードトーンの響きを確実に覚えてからテンション、オルタードテンションを使っていくのがおすすめです。

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5つのコード進行

ジャズスタンダードにはさまざまなコード進行が出てきますが、その中でもよく出てくる5つのコード進行があります。この5つの進行でのリックを覚えることで、ターゲットノートの響きとアプローチノートの使い方の理解が深まり、他のコード進行でもアドリブできるようになります。

1小節ずつのメジャーII-V-I
メジャーII-V-I

1小節ずつのマイナーII-V-I
マイナーII-V-I

1小節のメジャーII-V-I
1小節のメジャーII-V-I

1小節のマイナーII-V-I
1小節のマイナーII-V-I

I-VI-II-V
I-VI-II-V

上記5つのコード進行に絞ってお気に入りのアーティストのリックをコピーしてみてください。

複雑なコード進行でのリックの作り方

5つのコード進行以外のコード進行でリックを作ることは、ターゲットノートとアプローチノートの使い方が身についているかを調べるのに最適です。ここではジョン・コルトレーンのCountdownを例にリックを作ってみましょう。どんなに複雑なコード進行でもターゲットノートから作ります。

ターゲットノート
カウントダウンのコード進行を使ったターゲットノート楽譜

テンションはF7の9thのみで、他はコードトーン。特にルートを多く使ってみました。ここにアプローチノートを加えていきます。

アプローチノート
カウントダウンのコード進行を使ったアプローチノート楽譜

F7の9th=チェンジングトーン。
BbMa7のR=Fミクソリディアンスケール。
Db7のR=チェンジングトーン。
GbMa7のR=スケール音とチェンジングトーン。
A7の3rd=スケールとクロマチックパッシングトーン。
DMa7の3rd=Aミクソリディアンb9スケール。
DMa7のR=Aトライアドの転回型(3-R-5)。

完成したリックにフィンガリングテクニックを加えて弾いてみましょう。

完成したリック

カウントダウンのコード進行を使ったリック楽譜

どんなに複雑なコード進行でも、ターゲットノートの響きとアプローチノートの使い方さえ覚えてしまえばリックを作り出すことができます。
はじめのうちはターゲットノートとアプローチノートを別々に考えて作りますが、慣れてくると同時に作り出せるようになってきます。
そしてそれがアドリブにつながっていきます。

リックを習得するために

コピーしたリックをそのまま使うことも良い練習になります。
リックをアドリブ中に自然に使えるようになることは、自分で作ったリックを自然に使うためにも必要な過程です。
とくにコピーしたリックはその元になるお手本があります。
お手本と同じように弾くために、タイム感や演奏テクニックを向上させることができます。
覚えるリックは自分を表現する大切な言葉です。これは絶対弾けるようになりたい!と思えるリックに厳選することが大切です。

リックのコピーはイヤートレーニングにもなり、演奏能力も向上させられる練習法なのです。

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