メジャーコード上のアドリブで「いつも同じようなフレーズになってしまう…」 「もっと刺激的でクリエイティブなソロを弾きたい!」
そんな悩みを感じていませんか?
その解決策となる強力なテクニックが アウトサイド奏法(アウト) です。
アウトとは? コードに対して本来のスケールから意図的に外れた音(アウトサイドノート)を一時的に使用することで、 独特の緊張感や浮遊感を生み出すアドリブの手法です。
適切に使うことで、リスナーの意表を突き、その後のインサイド(スケール内)のフレーズに戻った際の解決感を際立たせ、 ソロ全体に ドラマチックな展開 を与えることができます。
この記事では、メジャーコード上で効果的にアウトするための3つのアイデア と、その実践的な練習法、そして演奏における「コツ」を分かりやすく解説します。
アウトサイド奏法をマスターして、あなたのアドリブの表現力を一段階引き上げましょう!
アウトサイド奏法を使った実例。 独特の緊張感でアドリブをより面白くしてくれます。
それでは、アウトサイド奏法の具体的なアイデアと練習法を見ていきましょう。
CMa7で使える音と「外す」考え方
CMa7コードで一般的に使われるスケールは以下の2つです。
Cメジャースケール
Cリディアンスケール
これらのスケールに含まれる音(C-D-E-F-F#-G-A-B)以外を効果的に使用することで、アウトサイドの響きを作り出します。ここでは、以下の3つのアプローチを紹介します。
- 半音上のスケールを使う
- 半音下のスケールを使う
- 別のコードを想定する
それぞれの使い方と、サウンドを自分のものにするためのコツを見ていきましょう。
半音上のスケールでスリリングな緊張感を演出する
アウトサイドの響きを得る最もポピュラーで効果的な方法の一つが、ターゲットコードの半音上のスケールを使用するアプローチです。CMa7の場合、Dbのスケールを使うことになります。
DbメジャースケールをCMa7で弾いたときの度数
F音(11th)とC音(ルート)以外がテンションの高いアウトサイドノートとなり、強い緊張感を生み出します。
DbリディアンスケールをCMa7で弾いたときの度数
少しだけ馴染みやすい響きになりますが、依然として多くのアウトサイドノートを含み効果的です。
度数を考えると難しく感じるかもしれませんが、「CMa7で普段弾いているフレーズをそのまま1フレット高いポジション(ブリッジ側)にずらす」という感覚で演奏するだけです。この「ずらす」感覚を掴むことが、アウトを自然に取り入れる近道です。
元のスケール(CメジャーやCリディアン)に含まれない音が多いほど、より強烈な「アウト感」が生まれ、リスナーにスリリングな印象を与えます。ただし、アウトした後は必ず元のスケール(インサイド)に戻ることを意識しましょう。
半音上のスケールを使ったアドリブ例
色をつけた箇所がアウトです。CMa7上で弾くフレーズのアイデアを1フレット分(半音上)ずらして演奏しているのがポイントです。
ここではDbスケールのみを使いましたが、CMa7で使えるAマイナーペンタやBマイナーペンタの半音上、BbマイナーやCマイナーのぺンタトニックスケールを使ってアウトすることもできます。
半音下のスケールを使った響き
半音上のスケールと同様に、半音下のスケールを使用するのも、アウトサイドの響きを手軽に得るための効果的なアプローチです。CMa7の場合、半音下のBのスケールを使います。
BメジャースケールをCMa7で弾いたときの度数
B音、E音、F#音以外がアウトサイドノートとなり、独特の浮遊感やミステリアスな雰囲気を加えることができます。
BリディアンススケールをCMa7で弾いたときの度数
B音、F(E#)音、F#音以外がアウトサイドノートとなります。
ここでも難しく考えず、「CMa7で弾いているフレーズの形をそのまま1フレット低いポジション(ナット側)にずらす」という感覚で演奏するのがポイントです。半音上のアプローチとは異なる、少し内省的なアウト感を表現できます。
半音下のスケールを使ったアドリブ例

CMa7で弾くフレーズのアイデアを1フレット分(半音下)ずらして演奏しています。半音上のアプローチとの響きの違いを感じてみてください。
半音上のときと同様に、ペンタトニックスケールでもアウトできます。Abマイナー、Bbマイナーぺンタトニックスケールでも試してみてください。
別のコードを想定する「スーパーインポーズ」で自由な発想を
より自由でクリエイティブなアウトサイド奏法として、「スーパーインポーズ 」というテクニックがあります。これは、現在のコード(ここではCMa7)とは全く別のコードやコード進行を想定してアドリブを展開する高度なアプローチです。
スーパーインポーズの基本的な考え方と例
例えばCMa7の上で、以下のようなコードを一時的に想定してフレーズを弾くことができます。
・ドミナントコードを想定: CMa7上で「G7」のフレーズを弾く。これにより、G7の持つ緊張感がCMa7上でアウトサイドの響きとして機能します。
・II-V進行を想定: CMa7上で「Dm7-G7」というII-V進行のフレーズを弾く。これも定番のスーパーインポーズのアイデアです。
高度なスーパーインポーズ例:メジャーコードのターンアラウンド
ここでは、さらにアウト感を強める高度な例として、CMa7上で「CMa7 – EbMa7 – AbMa7 – DbMa7」というメジャーコードによるターンアラウンド進行をスーパーインポーズするアイデアを紹介します。CMa7以外のコードは、元のCMa7の響きから大きく外れるため、とても強いアウトサイド効果を生み出します。
メジャーコードを使ったターンアラウンド
別のコードを想定したアドリブ例

スーパーインポーズは自由度が高い分、音楽的なセンスと理論的な裏付けが求められます。最初は、元のコードと関連性の高いコード(例えば、CMa7に対するG7やFMa7など)から試してみるのがおすすめ。重要なのは、「想定したコードの響きを明確にイメージし、それをフレーズで表現すること」です。
アウトサイド奏法を自分のものにする!効果的な基礎練習法とコツ
アウトサイド奏法をアドリブで自然に使えるようになるためには、その独特の響きに耳を慣らし、指板上での感覚を養う基礎練習が不可欠です。ここでは、具体的な練習ステップとコツを紹介します。
ステップ1:アウトサイドの「響き」を徹底的に覚える
まず、コードに対してアウトサイドのスケールがどのような響きを生み出すのかを、じっくりと耳で確認することから始めましょう。
CMa7でDbメジャースケールを弾く練習
(練習のポイント)CMa7のバッキング音源を流しながら、Dbメジャースケールの音を一つ一つゆっくりと弾き、それぞれの音がCMa7に対してどのような緊張感や色彩感を持つのかを感じ取りましょう。特に、CMa7のコードトーン(C, E, G, B)とDbスケールの各音との音程関係を意識すると効果的です。
CMa7でBメジャースケールを弾く練習
(練習のポイント)同様に、Bメジャースケールの響きも確認します。Dbスケールとは異なる独特の浮遊感や解決感を意識してみましょう。
ステップ2:リックやフレーズを「ずらす」感覚を養う
アウトサイドの響きに慣れてきたら、次はより実践的なフレーズ練習に移ります。半音上/下のアイデアで紹介した「普段弾いているフレーズを1フレットずらす」という感覚を身体で覚えましょう。
・CメジャースケールやCリディアンスケールで弾き慣れた短いフレーズやリックを選びます。
・そのフレーズの運指を保ったまま、1フレット上にずらして弾いてみましょう(CMa7上でDbの響き)。
・同様に、1フレット下にずらして弾いてみましょう(CMa7上でBの響き)。
・最初はゆっくりとしたテンポで、音の響きを確認しながら行うのがコツです。
ステップ3:アウトからインサイドへ「戻る」練習を徹底する
「アウトサイド奏法の最も重要なコツは、アウトした状態からスムーズにインサイド(元のスケール)の響きに戻ることです。」アウトはあくまで一時的な「逸脱」であり、インサイドに戻ることで初めて音楽的な緊張と解決が生まれます。
・練習では、アウトサイドのフレーズを弾いた後、必ずCメジャースケールやCリディアンスケールの音に着地するフレーズを続けることを意識してください。 例えば、「CMa7上で1小節Cメジャースケール → 1小節Dbメジャースケール(アウト)→ 2小節Cメジャースケール(インに戻る)」といった練習パターンが効果的です。 ・アウトとインの切り替え部分で、どのような音を選ぶと自然に繋がるかを探求しましょう。
これらの基礎練習を積み重ねることで、アドリブ中に自然な流れでアウトサイドのフレーズを挟み込み、表現豊かなソロを構築できるようになります。