現代のジャズシーンを彩る、才能豊かなギタリストたち。彼らが影響を受けた「原点」こそ、この記事で紹介する伝説のプレイヤー達です。
ギターを単なるリズム楽器から、誰もが憧れるソロ楽器へと昇華させた偉大な先駆者たち。ここでは、そんなジャズギターの歴史を築いた11人のレジェンドと、彼らの音楽への入り口となるおすすめの一枚を紹介します。
チャーリー・クリスチャン(Charlie Christian)
1916年7月29日 – 1942年3月2日
リズム楽器だったギターをソロ楽器の地位に押し上げた、ジャズギターの開祖とされるギタリスト。
ベスト盤の中でも、ほぼ全曲を網羅した4枚組「First Master Of Electric Guitar」がおすすめです。
チャーリー・クリスチャンの全てが分かる本「レジェンド・オブ・チャーリー・クリスチャン」は必読。
ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)
1910年1月23日 – 1953年5月16日
ジプシースウィングといわれるジャンルを確立したベルギー生まれのギタリスト。独特の音使いや、指2本しか使っていないとは思えないほどの超絶演奏が聴けます。
おすすめのCDは3枚組みの「Anthology」。
ジャンゴ・ラインハルトの全てが分かる「不世出の天才ジプシー・スウィング・ギタリスト ジャンゴ・ラインハルト」は必読。
ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)
1923年3月6日 – 1968年6月15日
歌わせ心満載のフレーズ、覚えやすくキャッチーな楽曲、オクターブ奏法やコードソロの超絶テクニックなど、現在でも影響力のあるギタリスト。
ベスト盤の中でもスタンダードの多い「Riverside Profiles」がおすすめです。ただしDisc2はオムニバスなのでご注意ください。
ジョー・パス(Joe Pass)
1929年1月13日 – 1994年5月23日
ソロギターの重鎮として有名ですが、アンサンブルの中でも伝統的なジャズフレーズを随所にちりばめた教科書のような演奏が特徴です。
ニールス・ペデルセンとのデュオアルバム「Chops」は必聴です。
ジム・ホール(Jim Hall)
1930年12月4日 – 2013年12月10日
独自のメロディーセンス、コンテンポラリーなコンピングなど洗練された演奏が特徴のギタリスト。ストレートに近いタイム感と4度を使ったフレージングは現在のギタリストに多大な影響を与えています。
おすすめはRon Carterとのデュオアルバム「Alone Together」。
ケニー・バレル(Kenny Burrell)
1931年7月31日 –
ブルージーな音使いを中心にしながらも、サックスのようなフレージングが特徴です。ここで紹介している歴史を築いたギタリストの中で、現在も存命のレジェンドです。
チャーリー・クリスチャンに捧げたアルバム「ア・ジェネレーション・アゴー・トゥデイ」は録音状態が良く、聴きやすさ抜群です。
バーニー・ケッセル(Barney Kessel)
1923年10月17日 – 2004年5月17日
「スケールやアルペジオをただ弾くのではなく、メロディアスに、自分の頭の中に鳴った音を弾くんだ」をテーマにした教則ビデオが有名です。
長らく廃盤だったのですが、2018年に制作会社がYouTubeにて無料公開!英語ですがぜひチェックしてみてください。
日本独自企画のライブアルバムがおすすめです。
タル・ファーロウ(Tal Farlow)
1921年6月7日-1998年7月25日
大きな手から繰り出されるワイドレンジなフレージングが特徴です。
スタンダードが多く収録されている「This is Tal Farlow」がおすすめ。
ハーブ・エリス(Herb Ellis)
1921年8月4日 – 2010年3月28日
16分のフレーズやテンポの速いフレーズでも安定して弾けるピッキングテクニックやタイム感は圧巻。ハーフチョーキングも効果的に使います。
2枚あるジョー・パスとのデュオアルバムは必聴です。
グラント・グリーン(Grant Green)
1935年6月6日 – 1979年1月31日
ウェス系でありながら、ブルース色の強い演奏やサックスのようなクロマチックの使い方、フレージングを得意としています。
これぞGrant Green!といった演奏を満喫できる「The Best Of Grant Green, Vol. 1」がおすすめ。
パット・マルティーノ(Pat Martino)
1944年8月25日 – 2021年11月1日
全てのコードをマイナーで考えるという独自の理論で展開される演奏は、独特なマイナー感に包まれています。息の長い16分フレーズも特徴。DC Music SchoolやTrueFireでその多くを学べます。


デビューアルバムから、すでにスタイルが完成されているのが衝撃です。
今回紹介した11人は、いわばジャズギターの世界における「共通言語」のような存在です。まずは彼らの音楽に触れ、自分だけの「お気に入り」を見つけてみてください。